ジオラマの建物を紙やプラから自作する!ビルや住宅の作り方をご紹介
「都会のジオラマには建物がたくさん必要!」
「市販のジオラマ用の建物は高い…」
「建物を自作してみたいけどどうやって作る?」
今回は、そんな悩みにお答えするため、
紙やプラ等の安価な素材を使った建物の自作方法をご紹介します!
僕は、Nゲージサイズの1/150スケールで都市風景のジオラマを製作しています。
これまでに作ったジオラマ作品で、多くの建物を自作してきました。
さらに、KATO主催の鉄道模型ジオラマコンテストでは、
自作のビルを使用した作品で2位入賞を頂くことができました。
このような経験で得た建物自作のノウハウをご説明していきます。
建物を自作しよう!
ジオラマの建物は、ストラクチャーなどと呼ばれ、
Nゲージサイズ(1/150スケール)であれば、
KATOやTOMIX、GREENMAX、ジオコレなどで市販されています。
しかし、小さな建物でも1000円以上、
大きな商業ビルになると5000円以上します!
とてもじゃないですが、僕には手が出ませんでした。
そこで、ビルなどの建物を自作することに。
僕が感じた、建物自作のメリットが3つ。
・素材が安い
・自分の好きな形状の建物が作れる
・既製品のようなごつさがなく、繊細でリアルに製作できる
それでは、建物の具体的な自作方法について、
使用素材 → 設計方法 → 製作方法
の順にご紹介していきます!
建物に使う素材
僕が建物に使用する主な素材は、大きく分けて3種類
・プラ材
・紙、木材
・透明板
それではそれぞれの用途と、使用する厚みやサイズをご紹介します。
プラ材
プラ材は、板や角棒、丸棒等様々な形状の、白いプラスチック製素材です。
プラ材が建物などを製作する上で、一番基本となる素材です。
僕はカッターでカットする場合に使用しています。
プラ材のメリットは、加工性が良く、扱いやすいこと。
カッターで正確にカットでき、やすりで削りやすい、
反ったりしわが付いたりしにくいのが大きなメリットです。
初めて建物を作ってみたいと思っている方にはプラ材をお勧めします。
デメリットは、普通のお店(ホームセンター等)にはおいていないこと、
紙や木材と比較すると、わずかに値がはることくらいでしょうか。
模型製作をするうえで、持っておいて損はないでしょう。
プラ材はタミヤが各種取り揃えていますので、
それを購入するのが間違いないです。
購入先は、実店舗なら、おもちゃコーナーのある大きめの家電量販店か
模型屋さんに置いてあることが多いです。
僕の場合は、ネットで購入するため、ヨドバシ.comを利用しています。
建物製作で主に使用するプラ材は、プラ板と、プラ角棒です。
この2種類だけで、大体の形状の建物ができると思います。
プラ板は建物の外壁を構成し、プラ角棒は裏の骨組みとなります。
プラ板は様々な厚みがありますが、建物に使用するのは0.3mmと0.5mmです。
住宅など小さな建物の場合0.3mm、
大きなビルなど強度が欲しい場合は、0.5mmといった使い分けです。
ここの使い分けは好みにもよるので、どちらか片方で統一しても良いでしょう。
プラ角棒も様々な太さがありますが、よく使用するのは2mmか3mmです。
紙、木材
紙と木材は、プラ材と同じ用途で使用します。
紙は、プラ板の代わりで、
主にケント紙と呼ばれるペーパークラフトや画材として使用される、
表面が滑らかで、インクがにじみにくい紙を使用しています。
木材は、プラ角棒の代わりで、
ヒノキの角棒を使用しています。
プラを使うか紙を使うかは、状況に応じて変えますが、
プラ材と比較して、紙や木は少し扱いにくい側面があるため、
そのメリット、デメリット知った上で使用することをお勧めします。
紙と木材のメリットは、入手性が良く、安いことです。
ケント紙は、100均で約0.2mm厚のものが8枚入り100円。
ヒノキの角棒は、ホームセンターで太さ0.2mm、900mmの長さが8本入り200円以下。
極論、300円程度で、建物の形状が出来上がります。
しかし、紙のデメリットは、
プラ材のようにやすりで削ったりする加工がやりにくく、
湿度によって反ったり、ちょっとしたことでしわが入ったりすることです。
そのため、扱いには気を付ける必要があります。
建物の外壁が反っていたりすると、
それだけで一気におもちゃっぽく見えるため注意が必要です。
しかし、僕は現在、紙をメインに使用しています。
その理由として安いこともありますが、
レーザー加工機を使用して自動でカットできることが大きな理由です。
レーザー加工は設計したデータを元に、自動で素材を焼き切ってくれます。
そのため、手作業では難しい複雑な加工や時間の短縮が可能となっています。
コンパクトなレーザー加工機は数万円で手に入りますので、
窓の連続する大きなビルを作る際や、
たくさんの建物を継続して製作する際にはとてもおすすめです。
カッターを使用した手作業で製作する場合は、プラ板。
レーザー加工で効率よく製作したい場合は、紙。
といった使い方が個人的には良いと考えています。
僕の場合は、プラ板の手切りから始めて、
最近レーザー加工機を導入してから紙に切り替えました。
様々な素材のメリットデメリットを活かして、
うまく使い分けることが重要だと思います。
透明板
最後に透明板です。ご想像の通り、窓ガラスに使用します。
しかし、ただ透明なプラ板を切って貼り付けるだけだと、
建物の内部が丸見えになってしまいます。
解決策として裏からカーテンやブラインド柄の紙を貼る、
中まで作りこむなどの方法はありますが、
僕は、半透明の板を使用することで、この問題を解決しています。
半透明の板を使用することで、手間もかからず、すりガラス状に見えて自然です。
素材は、半透明の塩ビ板を主に使用しています。
しかし、あまり入手性が良くなく、手元にない場合は、
透明なプラ板の表面を、500~1000番くらいの紙やすりで荒らすことで、
半透明にする方法もあります。
建物の設計方法
図面を描く
建物を自作する場合には、設計をしなければいけません。
設計は、建物の側面や屋根のパーツを図面に描く作業となり、
手描きで描く方法と、CADと呼ばれる設計ソフトを使う方法があります。
僕は圧倒的にCADを使用することをおすすめします。
CADを使ったことがない人は、最初は抵抗があるかもしれませんが、
僕も高校生の時に独学で使い始めましたが、それほど難しいものではありません。
手描きと比べて圧倒的に楽で、正確に描けます。
さらに、CADを使う最大のメリットはデータの修正、複製
印刷が簡単にできることです。
同じ形状の窓をいくつも描く場合や、建物をいくつも作る場合、
手描きではかなりの手間ですが、CAD上なら一瞬でできます。
JWCADというソフトなら、無料で使えるのでおすすめです。
図面には、プラ板や紙から切り出す必要のあるパーツの形状を、
実際に作るサイズと同じ大きさですべて描き、印刷します。
あとは印刷した図面を、切り出す素材に貼り付けて、
カッターで図面の線に沿って切り出すだけです。
手描きの図面で素晴らしい模型を製作される方がいることも事実ですが、
個人的には模型を自作する際にはCADの使用を強くおすすめします。
製作精度、効率が大幅に向上すると思います。
さらに、レーザーカッターを導入すると、CAD図面を使用して
切り出しまですべてコンピュータ上で行えるので、より高精度、高効率です。
こういった便利なソフトや機械の使用は賛否両論ありそうですが、
自分が最も楽しいと思える方法を選択しましょう!
窓の表現方法
建物の表現で一番難しい部分が窓の表現でしょう。
ただ、四角く切り抜いただけでは、リアル感がありません。
そこで、僕の場合は、板を2枚重ね、もしくは3枚重ねで窓サッシの段差を表現しています。
3枚重ねにすると、引き違いの窓の段差まで再現が可能です。
図面もこれを考慮して、建物一面あたり2枚か3枚のパーツを描いておきます。
窓枠を細くしすぎると、カットの際簡単に折れてしまうので、
ある程度の強度を担保することも重要です。
建物の製作方法
設計ができたら、建物の製作に取り掛かります。
切り出し→ 組み立て → 塗装 → ウェザリング
の順にその工程をご説明します!
切り出し
CAD等で描いた図面を、素材にマスキングテープなどを使用して貼り付け、
図面の線に沿ってカッターでカットします。
カッターは刃が折れるタイプのものを使用し、刃先を新品状態で作業を開始すると良いでしょう。
僕の場合は、オルファの30度カッターを使用しています。
直線にカットする場合は、金属の定規をあて、正確にカットしていきます。
プラ板をカットする際は、一度に切ろうとせず、何度かにわけて軽く筋を入れ、
半分以上切り目が入ったら、手でパキッと折るのが楽で正確です。
窓枠などもカッターでカット可能ですが、力を入れすぎるとすぐにミスしがちなので、
切る向きを変えながら少しずつ丁寧にカットします。
組み立て
パーツの切り出しを終えたら、まずは窓枠再現のために2,3枚に分かれている壁を接着します。
壁の接着を終えたら、次に角の突合せ部分に角棒を接着します。
そして、全体を接着し、建物の形状に組み上げていきます。
また、壁の面積が大きく、板が反ったりしている場合は横方向にも角棒を接着し、
反りを抑えることも重要です。
建物の角部分がしっかり直角に接着できているかどうかが、
かなり見栄えに影響するので特に角に注意して組み立てます。
また、角部分に段差ができるので、やすりで削ったり、
パテを盛ったりして段差が見えないようにしておくとより綺麗に仕上がります。
塗装
塗装は、基本的にエアブラシで行っています。
僕はタミヤ製の一番安いエアブラシである、
ベーシックコンプレッサーセットをずっと使っています。
5000円以下で購入可能なので、おすすめです。
まず、サーフェイサーを吹いて、その上から、建物の色をラッカー塗料で塗っています。
塗装のタイミングは、組み立ててから行うのが一番きれいに仕上がると思います。
ただし、マスキングの必要もあり、その分手間もかかります。
また、窓枠の塗装など、はみ出さずきれいに塗装するのは難しく、時間もかかるので、
組み立て前に塗っておいてしまうのも手です。
ウェザリング
塗装が乾いたら最後に、建物を汚すウェザリングです。
ウェザリングをするのとしないのでは、まるで見え方が変わります。
使用塗料は下地のラッカーを侵さない、エナメル塗料です。
主にフラットブラックとフラットブラウンというカラーを
エナメル溶剤でかなり薄めて、建物に筆で塗ります。
そして、その塗料がある程度乾いたら、
エナメル溶剤を含ませた綿棒で全体的に塗料を拭い取ります。
この際、重力の方向を意識して、上下方向に拭い取ると良いです。
基本的にはこれで完了としますが、必要がある場合は、
パステル系の素材を使ってさらに汚します。
僕はタミヤのウェザリングマスターを使用しています。
ウェザリングは奥が深く、僕も勉強中ですのでご参考までに。
まとめ
・素材はプラ板や紙、木材を使い分け
・設計はCADがおすすめ
・組み立てはしっかり直角を出す
・ウェザリングでさらにリアルに
いかがだったでしょうか。
長文となってしまいましたが、少しでも建物製作の参考になれば幸いです。