首都高箱崎ジャンクションをNゲージサイズのジオラマで再現!紙を使った高速道路製作
箱崎ジャンクションは、首都高速6号向島線から首都高速9号深川線が分岐するジャンクションです。ジャンクションが好きな人に知らない人はいないでしょう。なぜなら、このジャンクションは凄まじく複雑な構造をもつためです。ジャンクションには分岐路だけでなく、ロータリーを介して、出口、PA、高速バスターミナルも接続されています。その複雑な構造を下から見上げた時の様相から、大都会に現れたヤマタノオロチとも呼ばれています。
今回は、その箱崎ジャンクションで最も有名な一部分を切り取り、1/150スケールでジオラマ化しました。ここではその製作過程をご紹介します!
設計
僕がジオラマを作る際には、CADを用いて図面を描きます。図面を描く際に参考とするのは、Google Earth、航空写真、ストリートビューのみです。コロナによる外出自粛もあり現地には行くことなく、すべてPC上で完結させました。具体的には、まず航空写真をCAD内に取り込み、写真に沿って2次平面に道路の形状などの線を描き込みます。
ここまでは、あくまで2次平面データのみであるため、高さが不明です。そこで高さデータを得るために、Google Earthを活用します。Google Earthにはカーソルを合わせた地点の高さを画面右下に表示する機能があります。そこで取得した高速道路のおおよその高さを使用して、2次平面に描いた道路の線を3DCAD上で押し出すことにより、3Dモデルを作成します。Google Earth上の高さは1m刻みで正確ではないため、3Dモデルを実物と見比べながら高さや形状の最終調整を行います。
その後、レーザー加工用のカットデータなどを描き、設計完了です。
土台
今回は、土台から自作しました。土台を自作すると風景の切り取り方に自由が利くためお勧めです。材料はホームセンターで買ってきたパイン角材と、ダイソーのMDF板。切り出しはのこぎりです。数百円で簡単にできます。木工用ボンドで接着し、サーフェイサーで灰色に塗装しました。後で上からアクリルケースをかぶせるため、段差を付けてあります。
一般道
何もない土台に、道路を作っていきます。箱崎ジャンクションの下は一般道が走っているため、その交差点を再現しました。道路のアスファルト表現には、タミヤのテクスチャーペイント、紙やすりなどがありますが、白線などの塗装にはかなり手間がかかります。
そこで、このジオラマでは印刷での表現を行いました。その方法は、イラストレーターで描いた道路のデザインを写真紙に印刷し、つや消しクリアを吹いた後にウェザリングです。都会の整備された道路を作る際には手間もかからずお勧めです。
高速道路 橋脚
特徴的なゴツい橋脚は紙で製作しました。ケント紙をレーザーカットし、ボルトの表現もレーザーでの彫刻です。ただ、形状が複雑で大きいので、組み立てが非常に厄介でした。
内部には2mmのヒノキ角棒と、断面の形状にカットした紙を入れて補強しています。何とか形にはなったものの、わずかにズレも出てしまっています。今後もう少し工法を改善したいですね。
橋脚に取り付けてある配管などのパーツは全て3Dプリント製です。こういったパーツを再現するとグッと良い雰囲気になりますね。
高速道路
メインである高速道路部分の製作です。高速道路は横に取り付けられている配管以外すべて紙でできています。パーツはレーザーカットしており、ボルトなども橋脚と同様に再現しました。
使用した紙は、0.2mm~2mm厚のケント紙やボール紙です。カーブの部分は、厚手のボール紙をガイドに、薄いケント紙を側面に貼り付けることで滑らかな曲面を表現することができました。接着には基本的に木工用ボンドを使用していますが、カーブ部は紙を曲げても戻ってくるため、瞬間接着剤で所々接着しています。
高速道路の道路部分は、一般道と同様に印刷表現です。一般道よりもアスファルトの色合いを少し濃くしています。こういった微妙な調整がしやすいのも印刷表現のメリットではありますね。
高架橋は合計6本製作しました。レーザーカッターに切り出しは任せているとはいえ、なかなか大変な作業です。
しかし、目線を落とすと思い描いていた風景が広がっていた時、その苦労も吹き飛びます。
高速道路の防音壁は外側と内側でデザインが異なるため、それも再現してあります。この防音壁の内側と外側で異なる世界が広がる感じが好きです。
道路を高架橋へ設置するときも、できる限り実物同様となるようにこだわります。橋脚と橋桁は支承と呼ばれるパーツを介して接続されており、わずかに隙間が空いています。こういった構造があるからこそ、地震や台風にも耐えることができるんですね。模型をつくると構造の勉強にもなります。
電飾
さらに、このジオラマでは欲張ってLEDも入れてあります。やはり首都高といえば夜景でしょ!という事でしたが、作り出すと想定以上に電飾には手間がかかる…
高速道路の街灯にもすべてチップLEDを入れましたが、電源は土台の下から引っ張るしかなく、配線にかなり苦労しました。さらにどこかのLEDを誤って破損させると、一度配線を取り外さなければいけません。整備性にも難ありのものができてしまい、そこはかなり後悔です。
一般道の信号機や街灯、交番の照明なども含め、合計30個以上のチップLEDが使用されています。
完成
完成しLEDの電源を入れると、そこにはあの箱崎ジャンクションの風景が広がっていました。苦労した甲斐あり、その瞬間は最高です。
出来上がったジオラマを眺める時、それが最高の至福の時であり、それがあるからまた次を作りたくなってしまいます。一種の中毒かもしれませんねw
指と比較するとそのサイズ感がわかっていただけると思います。このような大規模な構造物を作れるのは、1/150スケールならではですね。都市風景を作りたい自分にとってはベストなスケールだと思っています。
アクリルケースを特注し、被せておきました。
より詳しい製作過程や、多くの完成写真はYouTubeに上げておりますので、そちらもぜひご覧いただけると嬉しいです。
今後も様々な都市風景を作っていきます。次にジャンクションを作るならば、箱崎のお隣、江戸橋ジャンクションを作りたいですね。東京の風景もどんどん変化していくので、平成の風景を模型で残していきたいところです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。ブログの更新頻度は低いですが、ジオラマ製作ノウハウの解説などを書いていければと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。特に気になるノウハウなどありましたら、気軽にコメントやTwitterなどでご意見いただけると嬉しいです。